…とは言ったものの。




やっぱり一歩踏み出せないアホな私は、


どうしようとアタフタしてる内に…





「馬鹿。」


「ごめんなさい…。」





林クンは女子数名に囲まれていた。


『林クンっ超キレー!!』

『それよりお土産屋さん行こうー!』


…などなど、
可愛い声を出して腕を掴んでいる。




林クンはいつもの笑顔で応えているつもりだけど、
ちょっと困ってみえた。


…可哀想。






「はぁー…まぁいいや。」



ため息をついた奈々が言う。






「え?!諦めるの早くない!?
もうちょっと協力してよ!」




いつもなら迷惑なくらい無理矢理「喋って来い!」とか言うのに。



今日は本当に奈々らしくない。





「いいから!
それより、ここじゃ凄い混んでるから、
別の所行こ?
穴場見つけたんだ♪」




え!本当に!!?



正直、人混みは嫌い。




「突き当たりの階段昇ってすぐだから。
芽衣子先に行っててくれる?
私、寛太(カンタ)呼んでくる。」



「わかったー。」




寛太は奈々の彼氏。

付き合って今日で1年。

記念日に夜景なんて羨ましいな。


やっぱ記念日は2人きりが良いよね。




私邪魔じゃない…?