◇◇◇

身動きがとれずに固まっている私たちの横を野良猫が通り過ぎて行った。

住宅街の中では車の音すらもほとんど聞こえず、どこかの家から漏れるテレビの乾いた笑い声が小さく聞こえるだけだ。


「えっと……」


とりあえず声を発したものの、特に何か考えあってのことじゃない。


「……私のこと、からかってたのね。2人して」


「「え?」」


木下美波の言葉の意味がわからず、和希くんと2人で首をかしげた。


「だってそうじゃない。2人は付き合ってるんでしょ?それなのに……!!」


「違うって。木下さん、これには訳が──」


「もういいよ!!」