◇◇◇

あぁ、全然眠れなかったよ……。



雨のせいか、コンクール曲の始まりの部分がぐるぐると頭の中で再生され続ける。


重い体を引きずるようにして鏡の前に立つ。

ひ、ひどい顔。

……冷やせば何とかなるよね?


しかし、このドアの向こうには和希くんがいるわけで、最初で最大の難関だ。


よしっ、悩んでるなんて私に似合わない!!

まだ早いし、起きてないことに賭けて部屋を出る!!



ガチャ


「あ、おはよう」


「……おはよう」


賭けに負けました。