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大ちゃんの話通り、食事の後は全員での合奏だった。


今回はさすがに顧問が指揮をしている。

顧問の先生は世界史のおじいちゃん先生で、優しくて穏やかな人だ。


先生は「ここをこう吹け」という指示はしない。

『この部分は砂浜で波が泡になるようなイメージで』という風に、ただ、その曲のイメージを伝えることが多い。


それは私にはとても分かりやすい。

イメージをしながら演奏することは何よりも楽しいことだから。



だけど、今日は違う。

音符が無機質な数列のように見える。


正確に。慎重に。


ただそれだけしか考えられなった。