「……――愁太(しゅうた)?まだ寝てる?」
保健室のクリーム色のカーテンを遠慮がちに開けて中を覗き込むと、ベッドの上には布団にくるまって背中を向けて眠っている愁太の姿があった。
ふぅと短く息を吐いてベッドサイドに腰かける。
「そろそろ起きなよ~。次の時間もサボる気なの?」
昔から寝起きの悪い愁太は、寝たら最後なかなか起きない。
なんだか……ここ数年のうちにずいぶん背が伸びたみたい。
小学校低学年の頃はあたしのほうが大きくていつも愁太を『チビ』ってからかっていたのに。
今は見上げることしかできない。