カタン、と音がした。
一瞬全ての音が消えた気がした。
鮮明に何かが落ちた音だけが聞こえた。
周りを見渡しても特に変わったことはない。
幽霊?そんなものいるわけがない。
けど、怖いものは怖いのだ。
足早に家を目指す。
今日は月がなくて暗い。
だから怖いんだ。

ほら、家についた。
何もない。
大丈夫大丈夫。
いつも見ているドア。
私の家への入り口。
あれ、何か違うような。
表札。
私の名前。
……が、ない。
あれ、あれ、なんで?
え、私の家。
なんでないの?
あれ、あれ。
インターホンを押してみようか。
いや、鍵を開ければいいんだ。
表札は……わかんないけど。
何かがあって取れちゃったんだろう。
鍵をさす、回す。
カチャン、なんだ、開くじゃん。