大きな快感の波に抗えず、美紗は大きな呻き声を立ててしまい、そして果てた。


薄目を開けた時、どこからかかたん、という小さな物音がして、ギクリとする。


部屋のドアの向こう側に
ヒカルがいるような気がした。



…声を聞かれたかもしれない……


余韻の残る身体は、起き上がって確かめることなど出来なかった。


ーーそんなはずない。
酔いのせいだ……


美紗は自分に言い聞かせた。







約束の7時を15分過ぎていた。


火曜日の会社帰り。

数日前、美紗は亜美と連絡を取った。


こないだは疲れていたせいもあり、亜美の話をちゃんと聞かずに、彼女を帰してしまった。


ヒカルと亜美がそういう関係だったのは、事実のようだ。


妊娠となれば、亜美は大変なことになる。

ヒカルの姉として、もう少し親身になってやろうと思った。


待ち合わせのカジュアルなイタリアンレストランは、ほぼ満席で女性客が圧倒的に多い。


とりあえずコーヒーだけ頼んだ。
亜美が来て、何も食べていないと言ったら、一緒に食事をしようと思っていた。