深夜営業のスーパーで、美紗は、品物を選び出しては、買い物カートの中に入れていく。


紙パックのオレンジジュース、
12個入りの卵、六枚切りの食パン、三個パックの納豆、
二袋セットのウインナー…

明日の朝食の買い物だった。


もう、夜の11時を過ぎたというのに、広い店内には多数の客がいて、それぞれがカートを押し、深夜の買い物をしていた。

中には、茶髪の若い両親に連れられた小学低学年と思しき女の子もいる。


土曜日の夜だ。

昔と違い、多様な生活スタイルがある。

親が飲食やサービス関係の仕事なら、どうしても生活が夜型になってしまう。


もしそうなら、こんな時間に子供を連れ出してと一概に非難することは出来ない。

親の子への愛情の掛け方は人それぞれだし、明日は学校が休みだから、その上でやっていることだろう。


両親に挟まれ、髪を両サイドで二つに括った女の子は嬉しそうにチョコレート菓子を手に持っていた。


(可愛い……)

美紗は微笑ましく思う。


(…誠の幼稚園児の娘もあんな感じかな……)


さっきまで、誠と一緒だった。


今朝8時に誠は、美紗の自宅前まで車で迎えに来てくれた。

誠の愛車ーー黒いRV車は去年、
新古で買ったと言った。