僕は旧校舎の教室が好きだ。



とくに海沿いの教室が気に入っている。



なんだか凄く落ち着くというかホッとする場所。



今日も僕は、旧校舎の教室の壁に寄りかかっていた。



「はぁ〜、まただぁ。」



僕は、また同じ失敗をしてしまった。



僕の教室にある花瓶を割ってしまったのだ。



これまでに何度同じ事を繰り返し、何度叱られたことだろう。



でも、自分が悪いのだから僕が怒ったってしょうがない。



どこにもぶつけられない感情を抱いたまま壁に寄りかかっている。


「………なぁ、誰でも良いから聞いてくれよ。」



壁の向側から青年の声がした。



聞こえるはずのない声は確かに今、壁の向側から聞こえてきたのだ。



壁の向は真っ青な海で、それも深い。