大腹課長から送られた住所の場所は高層ビルとの間の路地裏だった。

「すまない、遅れた」

黄色い立入禁止テープをくぐり、既に仕事をしていた鑑識や部下の刑事に軽く頭を下げる。

火茂瀬が見当たらないのに気付いたが、僕は自分の仕事をするために鑑識が群がる死体へ近付く。

「朝三さん、おはようございます。何か出ましたか?」

長い付き合いになる鑑識の朝三(アサミ)という男に声をかけた。

「犯人のものと思われる体液が見つかっています」

指紋を採取しながら朝三は答えてくれた。

「体液……汗とかですか?」

手帳に書きとめながら質問を続ける。