「梓!」

殺人課のオフィスに入った僕の朝の挨拶は、白城智の声に掻き消されてしまった。

「ど、どうしたんですか?」

白城の大きな声に驚きつつも、用件を聞く。

「廃墟ビルで見つかった血痕のDNAと一致する奴が居たんだ!」

この事件が白城との最後の仕事だということを思い出し、急に悲しくなった。

犯人である桑月一は火茂瀬が殺してしまった。

死体が見付かれば、この事件は別のチームに引き継がれる事になっている。

執行人を捕まえる為のチームがあるのだ。

「昨日、鑑定に出したのに早かったですね。で、犯人は誰なんですか?」

白城は数枚のプリントがホチキスでとめられたA4紙を渡してきた。