退院の日―――


守は愛を連れて病院に来た


特別、仕事を休んでくれた訳でもなくて、あたしの入院期間中、守は仕事もバックレてた。



あたし達の間に笑顔なんかない。



退院の手続きと、あたしの子宮の手術日の予約が終わると荷物を持って、さっさと駐車場に向かう守の後ろに続いて、千夏を抱き、肩手で繋いでいる愛の手を強く握りしめた。




“このまま逃げちゃいたい……”




そう愛と千夏を見ながらそう思った。



車の中でさ無言で嫌な空気が漂う中、無性に吐き気が襲った



顔を見るだけで拒絶するほど、あたしは出産の時から守を憎んでいた。



家に着くと見違えるような模様がえしてある部屋に言葉を失った




独身の男の部屋のように
あたし達の物は全て片付けられ、飾ってある写真すら、しまわれていた。



“別れて下さい”


そのメールを受け取った守の答えが部屋を見るだけで物語っていた。



「笑えるね~!!」



「なにが……」



「いや…呆れただけっ!」


「はぁ~」



守がソファーに寝転がり大きなため息を付く横で千夏は狂ったように泣き続けてた。



それを無視するかのように目を閉じる守。




その姿にあたしの理性はもうなくなった。