あれから数時間後。さっきのが嘘みたいに、平和に時間が流れていて。

「優ちゃん、交代の時間だよ?お疲れ様」

コンビニバイトの先輩。愛山ヨト(ナリヤマ ヨト)先輩。

綺麗な黒髪に、優しい黒い瞳。顔が小さくて、美形な先輩。

凄い優しくてモテる男の先輩!凄い頼りになるんだ。

「はい。お疲れ様でした」

私は、コンビニの時計をチラッと見る。
……夕方の6時頃。

「うん」

ニコッと笑って私の頭のポンっと撫でて愛山先輩は仕事に戻った。

「…あ、デート…」

これは、行かなかったら流石に酷いよね…。はぁ、適当に流して帰るか…。


私は重い溜息をついた後。

私服に着替えてコンビニ前から出た。

私より先に、謎のイケメン変人達は3人揃っていた。

「遅れて、すいませんでした」

私は、頭を軽く下げながら早歩きで、謎のイケメン変人達に近寄った。

「「「……………」」」

謎のイケメン変人達は、無言で私の事をジロジロと見る。

………どこか、変かな…。

「あの……?」

「……やっぱり私服可愛い…ね?」

「同感だ」

「俺も、そう思った」

「ありがとうございます……」

私は、適当に話を流した。

お世辞がうまいことで…。

「よし!早速、本題に入ろう」

「まずは自己紹介から…だね?僕は、水村リイ…だよ?…よろしく…ね?」

えっと、可愛い人が水村リイさん。

「俺は、七原リン。よろしく」

最初の変人が七原リンさん。

「僕は、高梁アラタだ。よろしくな」

話が長い人が高梁アラタさん。

「………原野優です。よろしくお願いします…」

私達4人はお互いに軽く頭を下げた。

…周りの目が、少し痛いけど、そこは気にしない。気にしてたらキリがないからね。

「では、優。どこに行きたい?僕と。…ホテルだと、僕は嬉し…」

私はセクハラ発言が聞こえて、思わず、アラタさんのお腹を軽く殴ってしまった。

「それは、犯罪になりますので」

「じゃあ、ラーメン屋さん行かない?」

リンさんが近くのラーメン屋さんを指を差す。うん、一番まともだな。リンさんの意見は。

一番、初めの変人だったけど。

「僕お寿司屋さん行きたい…な?」

流石に、高いよな。お寿司屋さんは…。

「待て待て。ここは優の意見を聞こうじゃないか。優は、どこでデートしたいんだ?」

「皆さんの行きたい所で」

「じゃあ、ホテ…」

「それは、嫌です」

「そうか。…なら、僕の家な…」

「嫌です」

「もう!アラタ!ちゃんと考えて!俺達、大人でしょ!」

リンさんは、変な事を言い続けているアラタの背中を軽く叩いた。

「そう…だよ?…子供じゃないん…でしょ?」

「そうですよ!」

私も、リンさんとリイさんの意見に賛成する。

「…………くっ。……だが、リンやリイは優といつか、そんな関係になりたいだろ!正直に言え!」

アラタさんは、急に開き直ったかと思ったら、意味不明な事をリンさんやリイさんに問い掛けた。

「アラタさん、本当にヤメ…」

「そうだ…けど?当たり前…だよ?」

「なりたいに決まってるじゃん!好きなんだもん!」

「ちょっ…」

やっぱり、変人だった…。そんな筈が無いと勝手に思い込んだ私がバカだった…。

「だったら、今からでも、早くないんだと思わないのか?」

「ぁの…」

勝手に話を進めないで下さいよ…。

「確かにそう…だね?」

「アラタの言ってる事、確かに当たってるね…」

「と、言う事で優!行き先はホテルに決まった!」

「嫌です!…ふざけた事言ってると、もうキレますよ!」

「もうキレてるじゃないか!日本語大丈夫か?優」

「………帰ります。さようなら」

もう付き合ってられない。こんな変人達と。誰が、デートするか。てか、出掛けたくもない!!

「ちょっと待って…よ?」

リイさんが、私の手首を掴む。

「お願い…。俺達と一回だけでも、デートしよ?」

「……………」

「あっ、じゃあ、アラタを抜かす…から?」

「なんだとっ!?リイ、裏切るつもりか!?」

「だって、アラタが居ると、優ちゃんと、デートも出来なくなる…から?だったら、アラタが1人居なくなるくらい、どうでも良い…から?」

「なんだとっ!?リイ、いつから僕の事を裏切るようになった!」

「ぁの…喧嘩は…ヤメて下さい」

「そうだよ!早く優さんと、デートしようよ!」

「じゃあ、優ちゃんは、ドコに行きたい…かな?」

私は、適当にリンさんがさっき指差したラーメン屋さんを指差す。

「じゃあ、ラーメン屋さんで…」

「って、事で、ラーメン屋さん行こうか!皆でさ!」

「そう…だね?行こう…よ?」

「そうだな。早く行くぞ!」

私達は、コンビニから近いラーメン屋さんに入った。