「はぁ…」




入学してから2週間目の朝



愛羽が何度も溜め息をついている




……おかしい




あの少し強気でクールビューティーな愛羽が、こんなに遠い目をしてボーッとしているなんて…




「…愛羽?なんかあった?」


「へ?ううん、なんでもないよ」




少し慌てぎみに答えた愛羽



……やっぱりおかしい




「愛羽ー、なんか隠してるでしょ」


「え…?い、いや…その…」




その時、一人の男子が愛羽を呼んで近づいてきた



「坂田、おはよ!」



あ、この人、愛羽の隣の席の子だ



確か…稲葉 翔(イナバ カケル)くん!


サッカー部で明るくてクラスの人気者




「お、おはよう!稲葉くんっ…」


「おう!」




稲葉くんは友達に呼ばれて行ってしまった



…愛羽の顔が赤い




もしかして…

いや、もしかしなくても…




「愛羽、稲葉くんのこと好きなの?」


「!?/////」




愛羽は驚いた顔で私を見た