「全く、また熱 出したの?」

そう苦笑する声が聞こえて、俺は黙って頷いた。

「ほんと、躰 弱いんだから。今日は大人しく寝てなさい。」

――それは、10年以上 前の、幸せな記憶。

ああ……あの頃に、帰れたなら。

頭を撫でてくれる母の手は、いつの間にか ねっとりとした、卑らしい手で、肩を撫でる。

隣に居るのは――歪んだ人。

「大丈夫、可愛がってやるからさ。」

――嫌だ……!!

でも俺は、抗えない。

だって彼は――。