「ねぇ、たかし君って好きな人とか
  いるの?」

 帰っている途中、咲がきいてきた。

 なんで急に……?

 「い、いる…けど?」

 こんなときに、好きなのは咲だ、なんて

 言えたらカッコいいのにな。

 でも俺は、そんな事言えるほどの勇気は

 なくて…

 これを言うので精一杯だった。

 「さ…咲はいるのか?
  その……好きな、ヤツとか」

 こんなこと聞いてどうするのだろう。

 聞いたって意味はないのに。

 「うん、いるよ」

 咲はあっさりと答えた。

 「いつも優しくて、頼りになって……
  すごくカッコいい人だよ」

 そう言う咲は顔を赤く染めていて、

 恋するオトメの顔だった。