ガラッ―――



「…また…誰もいないかぁ」

誰もまだ来てない図書室の中を歩く。



コッコッコッ…

自分の足音だけが響く。

「あっ!この本まだ読んでないな」

好きな作家のまだ読んでいない小説を見つけ、それを持って受付に座った。

見始めると集中してしまう私。

人が入ってきたことに全く気がつかなかった。

「その本おもしろいの?」

「ひゃあ!」

後ろから突然声をかけられ、驚いて振り向くと

いつのまにか

彼が

竹内 龍太が

私の真後ろに立っていた。

「あ、ゴメン。驚かしちゃった?」

「―――…あ、大丈夫…」

あまりにも近くに彼の顔があって、思わず俯いてしまった。

「俺が入ってきたこと気がついてなかったんだ」

そう言いながらさらに顔を近づけてくる。

頬が熱を帯びたように赤くなるのがわかる。

心臓もドキドキが止まらない。

思わず後退りしてしまった。