「葵お嬢様、朝でございます」



朝いつも通り荒木さんの低くて落ち着いた声に起こされ、私はむくっと起き上がった。



「おはようございます……」



眠い。


頭が働かない。


目をゴシゴシしていると、腕を掴まれた。



「いけません。 赤くなってしまいます」

「だって目が痒いんです」

「そんなむくれた顔をされてもダメです」



私は諦め、荒木さんの手を取りベッドから出た。


両手を上げ、伸びをする。


うー気持ちいいー!!



「お部屋の外でお待ちしておりますので、制服にお着替え下さい」

「はぁい」



荒木さんが部屋から出ていき、私はハンガーに掛けてある制服を手にとった。


今では当たり前の様に着てる制服だけど、ほんとうなら私なんかじゃ着れない制服。


お祖父ちゃんに感謝。


制服に着替え、部屋の洗面台で顔を洗い化粧をした。


もっと濃く化粧したいけど、学校だからこれで我慢。



「お待たせしました」



部屋を出て荒木さんに声を掛けると、荒木さんは会釈をし歩き始めた。



「今日はお祖父ちゃんいますか?」

「まだお戻りではありませんので、本日の朝食も葵お嬢様お一人でございます」



また一人かぁ。


一人のご飯って楽しくないんだよね。


お祖父ちゃん早く仕事から帰ってこないかな。