どんよりとした空気の中で夕食を終えると、エリーシャはアイラたちを引き連れて自室へと戻った。

「あー、やってらんない!」

 せっかくの綺麗なドレスをぽいぽいと脱ぎ捨てたエリーシャは、乱暴な手つきでイリアとファナを追い払った。

「あなたたちは、もう下がっていいから――アイラ、あなたは残って」
「はぁ……」
「よろしく!」

 脱ぎ捨てたられた衣類をきちんと片づけてから、他の二人はアイラを残して下がっていく。

「三番目の引き出しにある服を出して」

 下着だけになったエリーシャは、アイラに命じて服を出させた。

「これって……」

 エリーシャが出させたのは、一般市民の着るのと何らかわりのない服装だった――ただし、男性物の。
 焦げ茶色のズボンに、揃いの上着。白のシャツに赤のスカーフが差し色だ。

「あなたも着替えてきなさい。できるだけ、動きやすい物――男物は持ってる?」
「持ってないです」