「ママ!今日は、デパートに行くんだよね?」

「そうよ、今日は春介の誕生日だもの。ね、あなた。」

「もちろんさ。さ、早く行こう。春介!プレゼントは何がいい?ケーキも買ってやるよ。」

日曜日、春介は仕事を休んで高村里佳子のことをつけようとしていた。今は自宅付近。

里佳子は、名字がかわって、「北乃」になっていた。

それにしても、なんということだ。今、里佳子は確かに子供に向かって「春介」

と言っていた。なんで、俺と同じ名前をつけたんだ?

「ママ。一緒に乗ろうね。後ろに。」

「うふふ、春ちゃんったら甘えん坊ねえ。」

春介は涙が出てきた。悲しくて、辛くてたまらない。自分は、ニセの春介に思えてきた。

自分は、失敗作だったのか。どうして、俺なんだ?

目が涙で溢れた。だけど、北乃らの車は出発しそうだ。春介は急いで車を走らせた。