大きなボストンバッグに持ってきた物を手当たり次第詰めていく。



……うん。こんなものかな。



綺麗に片付いた部屋を見渡し、忘れ物がないか最終確認をする。



やっと退院か…この部屋にも長らくお世話になったな。



感慨深げに頷くと、ドア付近の壁にもたれ掛かっている蓮に視線を移す。



「蓮、終わったよ」



すると蓮は私の手からスルッと鞄を奪ったかと思うと、朔に押し付けた。



「なら行くか」



待て待て…行くか、じゃないでしょ。