ー莢果視点ー

何でせっかくの休日に
めかし込んでこんな所に
来なきゃいけないのよ!!

私は今、着物を
着せられ高級旅館の前にいる。

事の始まりは、週初めの
月曜日の夜まで戻り
夕飯の時に爆弾を
落とされたのだった。

「莢果、週末
お見合いしてもらうから」

はぁぁ何それ……

「嫌だよ」

何で高三でお見合いなんか
しなきゃなんないのよ。

「写真見といてね」

絶対に見ないんだから!!

この後、見とけば
良かったと後悔するが
この時はまだ知らない。

そして、嫌々ながらも
連れて来られたのが
この旅館ってわけだ。

「どぉも、
遅れてすみません」

お母さんは
相手方に謝ってるみたいだ。

「いえいえ、大丈夫ですよ」

ん?この声は……

「莢果、

あんたからも謝りなさい」


私はお母さんの声など

聞こえないフリをして

さっきの声の主を

真正面から見た。


「やっぱり、鶸田先生だ」

「月野さん?」

先生も私の顔見て
気付いたみたいだ。

「まさか、先生が
お見合い相手だったなんて
知りませんでした」


学校外というのと
一応、母親が居るから
敬語で答えてみた。

羅唯先生は

笑うのを必死で耐えていた。

まぁ、気持ちは解る。

私は校内で敬語なんて
使わないからね。


「僕もまさか、
月野さんがお見合い相手
だったなんて
知りませんでしたよ」

「二人は知り合いなの?」


ぶっ!!


「お母さんが
知らないのも
仕方ないけどね、
鶸田先生は
私のクラスの副担だよ」

こんな事なら
写真見とくんだった……