映画は二時間半程の作品だった。

高視聴率を叩き出した刑事ドラマの映画化。

ものすごく面白くて、ラストまで目が離せなかった。



「オレあのドラマが映画化になったのは知ってたけど、公開中とは知らなかったな」


帰りの車の中で洋介が言った。


「えー? 派手に宣伝してたじゃない」

「そうだったんだ」

「最近、主演の女優さんと俳優さん、テレビ出まくってたよ」

「仕事でテレビ観る時間なんてなかったから」

「そっか…」

洋介は大手建設会社に勤めている。

忙しいのは毎度のこと。

「特に嫁と離婚してからは、仕事に打ち込むことにして、何も考えなくていいようにしてた」

そんなこと言われたら。

あたしは何て返したらいい分からなくなる。