「──亮二、元気ないね」

「そうか? 気のせいだよ」

「ふーん。ため息ついてたけど?」



翌朝、会社に着いて更衣室に寄った後、瑠衣とバッタリ会った。

どうやらオレはため息をついて元気がないように見えるらしい。


「寺原さんと何かあったとか?」

「…いや、樹里とは何もないよ」


さすがに、瑠衣にオレの性事情を話すわけにはいかない。

知りたくもないだろうし。


「ねぇねぇ、食堂行かない?」

「あぁ。いいよ」


瑠衣に誘われてコーヒーを飲みに食堂に向かっていたら──

女子社員2人が瑠衣とオレを見て何か話していた。


「──やっぱ食堂行くのやめる」

「へっ? どうした?」

「だって、亮二まで変な目で見られるもん」