リベリア家にライルが加わってから一週間。

ライルのベッドや食器、衣服などの生活必需品が揃った。

それらはリーシャが肩代わりしたお金でライルが購入したのだが、その際ひと悶着あったのはいうまでもない。

リーシャがお金を差し出すと案の定ライルは差し出したお金を拒否した。

どうせレットにしか使っていないお金で、リーシャ自身使うあてもなかったため返す必要はないと言ったのだが、ライルは「返す」の一点張りでお金をもらうことを受け入れなかったのだ。

家賃を払うか否かについての議論をしたとき同様にリーシャが押し通すかたちでライルを説得したのだが、ライルのことだからきっと働いて給料をもらえば家賃や食費、生活費もきっちりと返してくるのだろうということは容易に想像できた。

そんなに気を使う必要がないのに、と思えるほどにリーシャの気持ちは変化しつつあった。

そう思えるのもライルの人間性のおかげかもしれない。

同じ屋根の下に暮らせど一定の距離を保つことを忘れず、ちゃんとリーシャを女扱いして様々なところで配慮してくれるのだ。

ベッドを仕切るカーテンもしかり、洗濯物を分けるのもしかり。

ライルの配慮のおかげでリーシャはストレスなく、むしろ快適に生活できている。

ライルが来るまでは廃墟のようだった家も徐々に元来の姿に戻りつつあり、リーシャも積極的に掃除や洗濯などの家事に関わるようになった。