クラスメイトたちがガヤガヤとおしゃべりをしている教室の中、ひときわ大きな学級委員長の声が響いて、わたしたちは教壇に目を向けた。


「ちょっと、みんな静かに!! アンケート結果が出揃ったということで、今年のクラスの出し物はお化け屋敷でいいと思う人、挙手して!」


10月上旬。

もうすぐ文化祭ということで、わたしたちのクラスでもホームルームが開かれていて、部活を引退して、次は卒業後に向け受験や就職でめいめいが忙しいこの時期に、久しぶりにクラスみんなで楽しく過ごせるイベントがやってきた。

黒板には、さっき無記名で取ったアンケート結果が書き出されていて、お化け屋敷に票が集まっていることと、手を挙げている人が大多数なことから、どうやら今年のクラスの出し物は、お化け屋敷に決まったみたい。

ココちゃんとわたしも、例にもれずに手を挙げていて、委員長は「お化け屋敷」と書かれた上に、赤のチョークで花丸をつけた。


「百合、あんた大丈夫? 子ども向けのお化け屋敷でもダメなくらいの、超怖がりなのに」

「大丈夫だよ。呼び込み係とか、お墓作ったりとか、そういうのだったらできるし!」


すると、こちらを振り向いたココちゃんが心配そうな目をして聞いてきて、けれどわたしは、そう自信を持って答え、笑った。