家は道路を挟んで向かい同士。
 年も同じということもあって、幼い頃から当たり前のように一緒にいた。
 俗に言う、幼馴染みという関係だ。

 俺の名前は、二階堂翼。先月、十五になったばかりだ。
 幼馴染みの名前は、本郷かなめ。まだ誕生日を迎えてないから、十四歳か。

 かなめには一つ年上の兄貴がいて、名前は有紀。
 俺の親友だ。
 有紀は極度のシスコンで、かなめを溺愛している。


 小さい頃から一緒にいるのが当たり前だった。
 幼稚園のときは二人で手をつないで遊んでいると、シスコンの有紀がよく俺達の邪魔をしていた。
 小学校も中学年にもなると、冷やかしのようなものが恥ずかしい年になり、態度ではかなめのことはなんでもないと言っていたけれども、本当はずっと好きだった。
 中学生にもなれば、異性を意識するわけで、俺はずっとかなめのことしか目に入っていなかったけど、でも、それをかなめに伝えるのは格好悪いと思っていた。
 だから、口ではかなめをけなしたり、からかったりしていたんだ。
 本当は、かなめのことが好きでたまらないくせに。
 本当に格好悪いのは、自分の気持ちを伝えられない俺自身だった。