さて。
時間もあることだし、部屋でも軽く片づけて…面倒だけど課題にでも手をつけようか。


そう思った矢先、携帯が音を上げる。

その相手を確認して少しだけ躊躇する。


―――な、なんの用事かな。


「もしもーし…?」
『あ、もしもし?今どこ?隣?』
「隣…」
『じゃ、迎えにいくー!待っててね?』
「えっ!ちょっと!」


ププッと通話が切れる音を呆然と聞く。


え?え?!
ちょっとなに?今の電話…。


私は手にある携帯を見る。
そこには何の変哲もない待ち受け画面が表示されてるだけで。

その画面にある時刻を見て、少しだけ考える。


「迎えに行く」って……今?

だったらこんな部屋で立ち尽くしてる場合なんかじゃ―――


その時、予告通り『ピンポーン』という音が部屋に聞こえてきて余計にパニックに陥る。

汗をかきそうになりながら、部屋をうろうろとしていたら、催促するかのようにもう一度インターホンが鳴り響いた。


だ、だめだ!
とりあえず玄関を開けなきゃ…!


バタバタと足音を鳴らして私は玄関へと向かい、そっとドアを開ける。

数センチだけ。
その隙間から確認するように。


「は、はい…?」
「おはよ!」