ケータイ小説 野いちご

策士な保健医~恋の速度はAndante~

♪第2楽章 恋の花が芽吹く初夏
♯ 第3小節 プールなんか大っ嫌い!

【先生 Side】



速水が転校してきて、早や1週間が経過した。

1週間前の、あの【公開告白】の後“美桜と早く仲直りして下さい”と高梨に耳打ちされたのは、当たり前の話。(苦笑)

そうしたいのは山々なんだが、こうも【アイツ】に避けられちゃ仲直りのしようがねぇんだよな…。(苦笑)


まぁ…それは良いとしよう。

それは良いが、このところ連日のように昼飯時なると、オマエらが保健室(ここ)へ来るのは………

なぜだ。(笑)


音原と金村は、ただ複数で【ランチ】したいだけだろう。
飯は1人で食うより、複数で食った方が美味いからな……。


…分かる、分かるけどな?


保健室(ここ)を【憩いの場】にするなっ!(笑)

基本的に、俺は1人で飯が食いたいんだよ!(笑)





…それから!


高梨と速水も人前で【イチャつかない】というか、【イチャつけない】タイプっていうのも…分かる。

オマエら2人は、そういうタイプだから……。


…分かる、分かるけどな?


だからって、保健室(ここ)でイチャつくなっ!(笑)


「ねぇ、蓮。部活何時に終わる?」

「…どうだろ、6時ぐらいかな。」

「…ん。じゃあ待ってる☆」

「…あ!そういえば、母さんが“ご飯食べにおいで~♪”だってさ。」

「千夏さんが?……行くー!!(笑)」

他の奴らに見られたら恥ずかしいんだろ?
俺には見られても良いのかよ!(笑)

「ちょっと~♪幸せ過ぎなんじゃないの?(笑)…恵美ったら☆」

「そう?奏。」


飯以外のモンで腹が膨れるよ、俺は。(苦笑)

ご馳走さんって感じだぜ。


俺は苦笑いを浮かべながら、【コイツら】のやり取りを傍観していた。


「そういえば…速水。」

「オマエ、バスケ部だよな?…だったら、女子が凄いんじゃないか?(苦笑)」

「…それなんですけどね!恵美の顔が利くので、心配要らなかったようです、先生。(笑)…オレの知らない間に、オレたちがカップルだと…話は広まってましたね。(笑)」

「あはははは!そうだった、高梨自身もわりと幅広く顔が利くんだったな!」

高梨の行動に抜かりは無かったようだ。

面長で目は大きく鼻筋も通っていて、なおかつ【爽やか系の一途なイケメン】と話題が尽きない速水。その上、185㎝もの長身で【バスケ部の次期“司令塔”】なんて肩書きまで付いたら、速水を放っておく女子はまず居ない。

【秀才の高梨】に勉強を教えてるぐらいだし、俺の話にも瞬時に反応してるんだから、速水の頭のデキも言うまでもない。俺が保障しよう。

…感心するぜ。

「しかし、男子部は良い“司令塔(ガード)”が入ったな。あ~。俺も久々にボール握って走りてぇよ。」

「えっ!?霧島先生、バスケ経験者なんですか?」

高梨と速水が“まさか!”という顔で、そうハモった。

「あぁ。高2の二学期早々に家庭の事情で辞めざるを得なくなったが、それまではやってたよ。【ミニバス】から辞めるまで、ずっとな。」

俺がそう答えると、速水は続けて【お決まりの質問】をしてくる。

「ポジションは?」

「俺の身長だせ?…ガードだろ~!(笑)…バスケ業界で178㎝っていったら相当【チビ】だからな、ガードぐらいしかポジションねぇよ。(笑)」

「うわ~。敵に回したくない司令塔ですね~。(苦笑)…ゲームメイク巧そうだし…。」

「確かに!(笑)…霧島先生とのマッチアップは面倒くさそうよね~。(苦笑)」

“面倒くさそう”って…高梨!(笑)

…だが。その口ぶりだと速水の試合、観に行った事あるな?(笑)

「まぁな。間違ってはないかもしれない…。、中学では【4番】背負ってた時期もあったし、誰が付けのかは知らないが…高校に入学して部活辞めるまでは【籠球(ろうきゅう)の鷹】なんて呼ばれてたしな。あのまま続けてたら、また【4番】…主将(キャプテン)だったかもな…。」

「【籠球の鷹】かぁ。これはまた凄い異名が付きましたね、霧島先生。確かに、【鷹】って頭キレるし狙った獲物は逃がさないし、プライド高い鳥ですからね。…にしても【バスケ界の鷹】なんて、上手いこと言われてましたね。」

速水は、口角を上げて笑った。



そして、その瞳(め)からは【尊敬の念】を感じられたような気がした。

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