ケータイ小説 野いちご

策士な保健医~恋の速度はAndante~

♪第1楽章 出会いの春
♯ 第2小節 まさかの再会

「うっ…うう~。イタ~イ、痛いよぉ。何でこのタイミングで生理になるの~。今日は入学式だから寝てる場合じゃないのに…。」

霧島さんが、我が家へ“引っ越しの挨拶”に来た日から1週間が経ち、今日からいよいよワクワクの高校生活が始まる。

…と思って、気持ちは期待と不安で膨らんでいるのに、身体の方は生理痛で最悪だった。

私の生理痛は重い。

生理の量が多い、2日目から3日目は鎮痛剤は必需品だし、貧血で目眩を起こして倒れるなんて日常茶飯事。

今日は入学式だっていうのに、運悪く2日目なんだ。

「美桜~!早く起きていらっしゃい、入学早々から遅刻する気~?」

キッチンからママに呼ばれる。

「分かってる…けど、ちょっと…待ってよ!」

私は、途切れ途切れだけどママに聞こえるように、叫び気味に言った。

すると私の様子が気になったのか、ママがノックと共に部屋に入って来た。

「美桜?生理痛、酷いの?」

「うん…。」

私は、力なく答える。

「学校…休む?」

そう言って心配そうな顔をするママに、私は強めに言った。

「初日から、そんなのダメだよ!薬飲めば大丈夫だから!」

ママが部屋に来る前に、休憩しながら何とか着替えは自力できた。
だけど、着替えを終えて部屋を出ていこうとしたら目眩がして動けなかったんだ。


部屋の壁掛け時計を見れば、7時50分。ちなみに入学式は9時から始まる。


きゃぁぁ、もうこんな時間!


ご飯もさっさと食べないと、本当に遅刻する。

「でも歩くの支えてね、ママ。薬飲むまでフラフラするから。」

「えぇ。」

ママに腰を支えられ、キッチンへ向かう。

「おはよう、美桜。生理痛、酷いのか?」

「パパ~!///うん…。」

ママに腰を支えられ、部屋から出てきたのを見てパパも私の生理痛が酷い事を察知したみたい。

それで心配して聞いてきてくれたのは分かるけど、“そんなダイレクトに聞かなくても…。”と思って、ちょっと恥ずかしかったよ。大きい声出しちゃったじゃん…。

…ちなみに。朝、こんな風に新聞を広げて読んでいるパパの姿が、キッチンにあるのは珍しい。

パパの仕事は、塾の講師。
昼から夜遅くまでの仕事だから普段ならまだこの時間は寝ている事が多い。

「ねぇ、パパ?今日はどうしたの?この時間に起きてるなんて珍しいよね?」

朝食を食べながら、私は不思議に思った事をパパに聞いてみる。

「それは、美桜が入学式だからだよ。」

「えっ?」

「パパは仕事で入学式に行けないからな、せめて“行ってらっしゃい”と見送るぐらいはさせてくれ。…すまないな、美桜。行ってやれなくて…。その代わり、ママにはしっかり見てもらうんだぞ?」

「パパ……。」

パパが言ってくれた言葉が、すごく嬉しかった。

私を気遣ってくれてるのが、よく分かったから…。

「ありがとう、パパ。」

私は朝食を終え、パパやママより一足先に家を出る。

玄関先で私を見送る2人の方に振り返って、私は笑顔で明るくこう言った。





「行ってきます!」

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