…湊に頼み、会議を30分遅らせてもらった。
瑠撫は手に大事そうに抱えていた封筒を俺に差し出す。
「これ、書類?」
俺は瑠撫がわざわざ持ってきてくれるなんて思いもしなかった。
だから今すっごく驚いている。
“ごめんね?なんか私が来たせいでいろいろ迷惑かけちゃったみたいで…”
メモ帳を俺に差し出してきたのでそれをみるとそうかいてあった。
「迷惑なんかじゃない。
ただ…」
「ただ、来てくれるとは思ってなくてびっくりしただけ。だろ?」
俺が言おうとした言葉を遮って変わりに湊が言った。
「あっオレは長峰湊!よろしく」
そういってニコッと笑った。
瑠撫はメモ帳に名前を書いて湊に見せた。
「筑紫乃瑠撫ちゃんねっ!よろしく~」
そういいながら湊は瑠撫に抱きついた。
湊の性格は…女ったらし。
昔から女遊びが激しい。
「うわぁーいい体してるぅー」
瑠撫の太ももに湊の手が滑る。
瑠撫は少し震え始め、湊を押し返そうとしているが瑠撫の力じゃ無理だ。
「それで抵抗してるつもり?
めっちゃかわいいんだけど~」
「湊。やめろ。」
今にも泣きそうで湊の行動に怯えている瑠撫の手をひっぱり抱き締める。
「うわー何さぁ。」
「…瑠撫は俺の。」
…瑠撫が他の人に触られるとかダメだ。イライラする。
「はいはい。あー俺そろそろ仕事行くわー。あと15分くらいで会議始まるからちゃんと来いよ。」
そういって湊は部屋を出て行った。
瑠撫をみると泣いているみたいだ。肩が震えている。
俺は瑠撫の頭を撫でながら、
「ごめん。怖かったよな。」
その言葉には特に返事を返さず、ギュッと俺を抱きしめてきた。
────かわいい///
…そう思うおれって重症か?
てか俺の身長は186㎝ある。
でも瑠撫の身長は143㎝。
めっちゃ小さいんだ。
小動物みたいに…
「このあと俺は会議があるんだか…瑠撫どうする?」
瑠撫は口パクで“待ってる”っと言った。
「飲みものとかいるか?」
瑠撫は首を横に振りいらないことを示す。
「ん、わかった」
その言葉のあとは沈黙が続いた。
「社長お時間です」
仕事モードの湊が部屋に入ってきてそういった。
「わかった、じゃぁ瑠撫いってくる。」
とはいったが瑠撫が俺の服を離そうとしない。
「瑠撫どうした?」
優しくそう言いながら瑠撫に目線を合わせる。
その時の瑠撫の顔はいかないでとでもいっているようだった。
──やだ、離れたくない…
瑠撫の心の中はその言葉でいっぱいだった。
「すぐ帰ってくる。」
その言葉を聞いて安心したのか瑠撫は手を離した。
「んじゃいってくる。」
俺は部屋を出て行った。