【 信吾 】




――高1の春。

八神原学園に入学した俺たちは、信吾という男に出会った。




「なんか信吾ってさぁ、健ちゃんに似てるよね。 名前とか、見た目とか」




信吾を見ながら、大雅が笑う。


健吾と信吾。
確かに似ているかもしれない。

大雅が言う『見た目』っつーのも、なんとなくわかる。


元柔道部だった俺と同じで、信吾も元柔道部。

同じような生活をしてきたからか、体格も似ている。




「二人でさぁ、漫才でもやったら?」




ニヤッと笑う大雅に、信吾はけらけらと笑う。




「コンビっつーか、龍輝も入れてトリオの方が面白いんじゃね?」

「あ、いいねー。 龍輝って馬鹿だから、絶対面白い!!」

「だろー?」




信吾はいつも楽しそうに笑っていて、周りに居る俺たちも自然と笑顔になる。

……他校の生徒と喧嘩になった時も、信吾は余裕の笑顔で相手を挑発し、あっという間に負かせてしまう。


強く頼もしく、仲間との絆を大切にする熱い男。

俺と信吾は親友で、これからもずっと馬鹿やっていくんだろうなって思ってた。