夏休みが明けたら、本当にナツはいなくなってしまった。


美冬は「聞いてない」と困惑していて、晃は「やっぱりな」と漏らしていて。

私はそれを遠巻きに見ていただけ。



私たちはもう、『春夏秋冬』じゃなくなった。



ナツがいなくなった穴は大きすぎて、もう埋められないほどで。

私と美冬と晃が別々に過ごすようになったのも、自然なことなのかもしれない。


学校にいることは、苦痛になってしまって。


だからって家に帰ったところで、誰もいないし、隣の窓に声を掛けることもできないし。

私の居場所はどこなのだろうかと、ぼうっと考える。



「ねぇ、知ってる? 最近、温暖化の影響で、四季がめちゃくちゃになってるんだって」

「あぁ、春が消えるんでしょ?」

「そうそう。どっかの4人組みたいだよね」


どうやら私はクラスの女子に嫌われているらしい。

多分、美冬がありもしないことを言いふらしているのも原因だろうけど、それ以前に他の子たちとあまり交流しなかった私にも責任はあると思う。


私はつくづく、今までぬるま湯の中にいたのだと思わされて。



「気にしない方がいいよ」


だけど、幸いにも、他のクラスには中学からの同級生がいたから。

私は空笑いを返した。


いなくなって初めて、ナツの存在を恋しく思っただなんて、そんな身勝手すぎることはもう言えないじゃない。


だってそれは、やっぱり恋なんかじゃないから。

現実を受け入れたくないだけだから。



「別に平気だよ」


ナツの想いに答えてあげられず、だからって美冬に協力してあげることもできなかった私には、当然の仕打ちだと思う。