・・・

今にも始まってしまいそうな喧嘩。

二人の間に板挟みになった私は、

秀明を止めに入った。

・・・

「いいんです。お願いだから、

何も言わないで」

「いい事なんて何もない。

冬美さんは、自分の気持ちを言うべきだ」

・・

私をまっすぐに見つめ、

言う秀明。

…チラッと、

翔の顔を見た。

…言えない。

いざ、面と向かうと、

自分の気持ちを伝えるのが怖い。

・・・

「・・冬美」

翔が、小さな声で、

でも優しさいっぱいの声で、

私の名を呼んだ。

その声に、

胸がキュンとなった。

・・・

「…翔、私」

やっと翔の名を呼んだと言うのに、