夕日で鮮やかに彩られた町並み。行き交う人々はその鮮やかに町を彩る夕日に笑みを漏らす。
 そんな中、ふらふらと宛もなく歩いている女性…松葉は先程医者に聞いた言葉が頭から離れず、思わず泣きそうになる。

「痛みが引くまで縫い物禁止…か。」

 松葉は仕立て屋「空」の針子で、誰もが認める程の腕の持ち主だ。
 しかし、最近は腕が落ちてきたのか縫い目が雑になったり指を刺してしまったりなどと、彼女らしくない失敗ばかりしてしまうので近々医師に診て貰おうと考えていたら、腕が痛みだし針が持てない状態になった。
 なので先程、医師に診てもらったが痛みの原因は解らず、とりあえず痛みが引くまで針を持つことを禁じられた。
 針が持てなくなった松葉は翼のない鳥も同然。

「もしこのまま一生針が持てなくなったらどうしよう…」

 不安で押し潰されそうになる。松葉は帰路には着かず、町の外れの方へと歩き始めた