───魔女は静かに降り立った。




月を背にしてるから逆行で、純ちゃんの顔は黒く見える。




「…何…してんの…あんた……」


「…うわ」




表情が見えないまま、純ちゃんはゆらりとこっちに近づいてくる。
やがて透真のすぐ前で足を止めた。



「……あんた…透真ね…」

「そ。俺 王子」



静かに言葉を紡ぐ純ちゃんに、どこか挑発的な透真。


…え、なに、このふたりの雰囲気!


状況的に純ちゃんに内緒で勝手に人を呼んでたわたしが悪いのは分かってる。
だから透真の代わりに純ちゃんの名前を呼ぼうと口を開いた。



「純ちゃん、あのね、」


「なんっで透真がここにいるのよおおおおお!!!」




…純ちゃんの叫びにかき消された。