シュッ。

フワッ…


「おー…」



やっぱり、いい香り…



あれから約一週間後の朝。


洗面台の前に立ってメイクを施す作業にひとつ、加えられたこと。



それは……




「あっれ、おかあさーん。なんか千紘が色気付いてる」


「お…お姉ちゃんっ」




鏡ごしに私と目を合わせてニヤニヤしてくる意地の悪いお姉ちゃんは、



私がいま右手に持っているボトルを見て言った。




「なーにー?香水なんて付けちゃって。どーゆう心変わり?」



「…いいでしょ別に」



興味津々で私の顔を覗き込んでくるから、すぐに目をそらした。



そう、実は今日…この前カケちゃんにもらった香水をさっそく手首につけてみたの。



もちろん、控えめにね。