記憶の片隅に押しやられた、裏通りを灯す蛍光灯とコンクリートの壁、それに隔てられた繁華街、ひっそりと誰のために灯るのかわからない街灯。
それこそが哲学なのだと思う。

裏側に情熱を秘め、押し黙ったままの光。
来る人を待ち、そしていつまでも待ちわびる。

哲学に苦しめられ、道を誤った者より、哲学の方がずっと哀れである。愛すべき人に読まれる事なく、ただそこに存在するのだから。

しかし、図書室に静かにただ一人読むべき本を、まるで悪魔に導かれるように選んだ時は、悪魔こそ哲学なのだと思う。