或いは、待ち望んだイデアに彼らははこばれた。

太陽の陽射しが、虹色に見えるほどの色彩を萌樹に照り返し、それを信じさせずにはいられなかった。
土は植物をどのように生き永らえさせるのか、不思議なほど、乾ききっていた。

黒澤は手にとり、サラサラと地に返した。

「もしや、ここは、我々の思想の世界なのかもしれない。リアルで、そして凌駕している。」

「夢の世界みたいな、ことですか。」

黒澤に高城が答えた。

「シュルレアリズムの世界かんで、リアルだ。」

「シュルレアリズムって、何でしたっけ。」

高城が黒澤に訪ねた。

「ダリや、キリコ、マグリットが有名です。家の中に、部屋いっぱいのりんごがおいてあったり、時計が溶けてたり。」

黒澤が説明すると、高城と横井はボンヤリ思い出していた。
すると、横井の持っていた携帯電話が、記憶の固執そのまま、溶け出した。

「えっ」

横井は、面白がって笑い出した。

「嘘だあ、スゲェんだけど。」

「やはり、我々の思想上の世界だ。ただ、これには、我々3人だけの思いでは、成り立たない。我々は今、互いを知ったのだから。」

黒澤が、後1人彼らを知る人物が、いることをほのめかした。

「しかし、たまたま、実際に居合わせた可能性もあります。」

高城が答えた。

「確かに。」

と、黒澤

「しかし、あの風呂みたいな場所からここまで泳ぐ思想は、我々には、ないでしょう。自然に考えると、我々3人を知る人物がいると、考えられる。」

「例えば、風呂と泳ぐ動作が別々なら、できうる考えでしょう。」

高城が黒澤に反論した。

「何故、3人だけ、泳ぐ動作、風呂を関連つけ、神殿のような建物を同時に考えつくのですか。我々より多いか、少ない方が自然です。」

黒澤が高城に返した。

「アトランダムな数字だから、3であっても不思議ではありません。」

高城が答えた。

「よって答えはわからない。」

横井が、結論をだした。

「お前がいちばん賢いなあ。」

黒澤が笑って言った。