あれは仕事?
それともプライベート?


気になるけれど、あたしの位置からじゃ主任の影になって部長の表情は見えないし。
たとえ見えたとしても、部長が日頃主任にどういう表情を向けてるか知らないあたしにその判断がつくわけない。


今まで和田さんのことばっかりに夢中で、部長に無関心だったことを後悔する。


『葛城との間には何もない』
そんな彼の言葉をすっかり信じ込んでいたけど。
よくよく考えてみれば、つい二日前までは関わり合いのない新人だったあたしに、部長が本心を包み隠さず話すわけない。


ただ、ほんの少しお茶の淹れ方を褒められたくらいで。
ただ、ほんの少し仕事を認めてもらえたくらいで。
あたしはあいつの何を知った気になってたんだろう。


部長があたしのことを知らないのと同じように、あたしも部長のことを何一つ知らなかったんだ。