「うるさいっ!!黙れっ!!いい加減うざいんだよっ!!母親ヅラすんなっ!!」
少女は怒号の声を上げた。
少女は近くにあった本を母親と思われる人に向かって投げつけた。
少女の容姿から見るからして、10代と見える。

そんな少女に母親は怯えたような顔をして、少女を見ていた。
「お前がちゃんとお父さんを見てないから、悪いんだっ!!男遊びばっかして、病気のお父さんを放ったらかしにしやがってっ!!」
「そんで、死んだからって、大丈夫よ、私がいるから?は?!あんたがちゃんと見てれば、お父さんはこんなことにはなんなかったっ!!」
少女はストレスが爆発したように母親に怒号の声を浴びせた。

そして、とうとう少女は泣き出した。
ポロポロと泣き出してしまった。

―――きっと我慢していたのだろう。

少女は辛かったのだろう。
父が死にそうなのに母は何も看病もしない。
心配もしない。父が死んでも泣きもしない。
そんな母に対しての怒りを溜め込み、そしてその怒りを一気に吐き出してしまって、力が抜けた。
そんな感じだろう。