嬉しそうにお父さんのことが好きなんだね、と聞いてくるミミ子ちゃんに、思わずきつい口調で返してしまった。



『何にも知らないくせに。』



よくテレビや映画なんかで使われる言葉が頭をよぎる。


もっとも俺の事情なんて、過酷な運命背負ってるドラマの主人公なんかに比べるとホントたいしたことないんだけど。


ミミ子ちゃんは少し傷ついた顔をしていた。


花びらみたいな唇をきゅっと結んでいる。