(うっ、ま、まずい。)



わたしとアユ芽ちゃんは学校が終わると、近くにある本屋によった。



わたしの愛してやまない漫画家、江口華未子先生の新刊がでているので、暇人のアユ芽ちゃんを引き連れてきた。



本を手にとってほくほくのわたしは、レジに向かおうとくるりと体を回した。



次の瞬間、目に飛びこんできた人物。



わたしは再び半回転して彼を視界から除外した。



顔引きつってるな、たぶん。



わたしの背中側にいるのはまったく知らない、見たこともない男の子。



近くの男子高の制服を着ているから高校生なのだろうが、あんまりちんまくて顔が幼いからコスプレした小学生でも通りそうな容姿。



おめでとう、少年。
アユ芽ちゃんの好みドストライクだよ。



わたしはそそくさとアユ芽ちゃんの前に立ち、コホンと咳をした。


「うぉっふん。アユ芽ちゃん、もう買うから、さっさと行こう。」



「あ、はーい。それではちゃっちゃとスタコラせっせっせと……」



わたしはギクリと身を震わせた。


いきなり口をつぐんだアユ芽ちゃんの目は一点に釘付けになっている。


やばいれす。アユ芽様暴走警報発令れふ。

アユ芽ちゃんは恐怖で身を震わせているわたしの横をすり抜け、今まさにちびっ子少年を標的にせんとしていた。



やめれ~~~‼