翼先輩に告白した次の日。


返事はいらないって言ったから、翼先輩は何も言わなかった。




「…え、告白したの?」


美紅が驚いて手元の携帯から視線をあげた。



「うん。これからアピールするの!」


「へぇ。頑張って」




なんだかあまり応援されている気がしないという重大な問題。まあいいや。




「…あっ」



窓の外を見ていたあたしは、声を上げる。


登校してくる翼先輩を見つけたから。


カッコいいなぁ~…。


ふわっとセットされた黒髪が、風に揺れて。


だるそうな表情すらも、カッコよくて。



近くを通る女の子達がキャーキャー言っているのも無理はない。




あたしは無意識のうちに。

………あくまでも無意識のうちにね?



バッグから取り出したスマホのカメラを起動させ、ピントを翼先輩に合わせた。