手当ても無事に終えた頃、母さんがひょこっと僕の部屋を訪れた。


「リゼちゃん、こっち。

フェリも。」


付けたしのように呼ばれたが、行かない訳にも行かず、着いていけば、そこはうちの経営する店だった。


今はもう夕方なので、店は閉まっている。


主に女性向けの服を作っている我が家は、既製品をここで、売っているのだ。


そして、奥で、従業員を雇ってその既製品の洋服を作って貰っている。


そしてそのまた奥が、自宅である。


町の中心部にあるこの店はおかげさまで町中の女性がこぞって買いに来る店となっていた。


ちなみに、値段は上がるがオーダーメイドものも作っている。


その相手は主にここの領主である貴族や、豪商、また、結婚式の花嫁衣装など。


ちなみに、ここの領主の伯爵の娘であるリザもこの店のお得意様だ。


今来ている白いワンピースも、シンプルに見えるが、この春、リザのためにデザインされたものだ。


「この中から好きな服を選んで。

服変えないと、困るでしょ。」


そう言われてリザの服を見ると、確かにところどころ解れたり、泥がついたりした跡がある。


たぶん、逃げたしたときに汚れたのだろう。


「ほらフェリも選んであげて。

そのために呼んだんだから。」