蒼甫先輩が連れてきてくれたのは、郊外にある一軒家。古い民家をリフォームした店は雰囲気もよく、清々しい木の香が心を落ち着かせてくれる。

お好み焼きや焼きそばはもちろん夜は鉄板焼がメインのお店で、お昼はランチメニューが人気で十三時を回っているというのに賑わっていた。

先に手洗いを済ませた私は、席に戻ろうとしてその足を止める。

蒼甫先輩、スマホ片手に困ったような顔をしてる?

メールを見て返信でもしようとしているのか、指を動かしたりやめたりを繰り返していた。

もしかして、彼女? 今日何か約束をしていたとか?

そうだとしたら、貴重な休みを私のために使わせてしまったことになる。

慌てて席に戻り、先輩を見据えた。