涼しげな風が頬を霞めた




真っ青な空を見上げながら、オレは空港へと足を進める







一人、空港へと向かう

哲が帰る日だ


月牙の皆は重要な決戦とやらで来れないらしい


その代わり、オレ抜きで夜会っていたとか…





にしても、時間が止まれと思うのは初めてだ

こんなに焦れったい気持ちになるなんて



ジリジリと焦るように胸を焦がす



空港に入るとエアコンが効いるが、人混みのせいか外よりも暑く感じた


フラつきそうになる足を踏ん張りしっかりと前に歩く




会いたい、けど、会いたくない






これが最後だなんて




『…いや、最後じゃない』



自分に呟きかけ、待ち合わせの時計台につくとデカイアタッシュケースを持った哲がいた






『…哲!』

「ん?お、朔月っ!」




オレをみた哲は嬉しいような悲しいような複雑な表情で笑った





「…ありがとな。見送り」

『いや、オレが来たかったんだ』




そう呟くとそっか、と哲も呟く


暫く沈黙してしまう




『……時間、いつ?』

「あと、30分…」



沈黙を破って聞いたが、……あー駄目だ!


後30分しかない!