年が明け、お正月番組にもだいぶ飽きてきた頃、深夜に携帯が鳴った。

眠りに入っていた菜摘は、だるい体を起こして携帯を開く。

《新着メール1件:大ちゃん》

大ちゃん…?

なんだろ。

大ちゃんとは初詣で会ったけれど、お互い友達といたから特に話さなかった。

彼女といなくて…安心したけど。

やっぱりその名前を見るだけで、一気に目が冴えてしまう。



《受信:大ちゃん
起きてる?あのさ、カラオケ行きたくない?》

寝てましたけど。

時間を確認すると、もう2時半。

本当に非常識なんだから、と思いながらも返信ボタンを押す。

《送信:大ちゃん
ずいぶん急だね。行けばいいじゃん》

あえて誘わない。

自分から誘うのは、しばらくやめるんだ。



やっぱり─

『彼女』という言葉が、まだ引っ掛かっているから。