「付き合え」
「はいっ、いいですよ!」
放課後2人きりの静かすぎる教室で、そう私に言ったのは、クラスメイトの戸田くん。
「……本当に?」
戸田くんは私の顔を、綺麗な瞳で真っ直ぐ見つめてくる。
「当たり前じゃないですか!…で、どこに行くんですか?」
「………。」
「…え?戸田くん?」
あれ私、なんか変な事言ったっけ?
戸田くんは私に、買い物とかに付き合え、って意味で言っ………
「ばぁか」
「ばっ…?!」
黙った次に「ばぁか」?!
もう、なにがなんだかわかりません!
戸田くんは、はぁ、と短くため息をついたあと、また、その綺麗すぎる瞳を真っ直ぐ私に向けた。
「実里が好きだから付き合え」
「へっ?」
表情を全く変えず、一息で言い切った戸田くん。
好きだから付き合え?
戸田くんが、私を?
「うううう嘘嘘嘘っ!」
あり得ないよ、そんなの!
「うるさい。実里に拒否権はない。断ったら殺す」
「こっ……!?」
こここここ殺す?!
おおおおお恐ろしい!!!
「今から実里は俺の彼女。わかった」
「…は、い……」
戸田くんは、私が答えると満足そうに笑った。
その時初めて、戸田くんの笑う顔を見た。