「ただいま。」
「あら。お帰りなさい。睦月。」
俺、秋月睦月。12歳。一応、中学1年生。
1月生まれだから誕生日おせぇし、他のやつらに比べて背も低い。
可哀そうだ。俺。
「七瀬は。」
「そこにいるわよ。」
お袋は和室を指す。
確かにお袋が仕事している部屋よりは安全だが、
ツボのある部屋も大変じゃないか?
「七瀬――――――っ。」
俺は力いっぱい抱き着く、
予定だった。
いや、抱き着いた。七瀬ではなく、
俺の親友、近藤修二に。
「・・・・・・・・。」
二人同時に固まってしまう。
「、ゴメン。睦月。気持ち、嬉しくないし、答えたくないし、とりあえず、どいてくれる?」
穏やかに一気に毒舌をはく。
「睦月の部屋のぬいぐるみ、七瀬ちゃんに渡しちゃった。」
俺のお気に入りのクマの人形。
七瀬はそれをしっかり持っている。
七瀬だから怒れない。
「俺の、クマのタロー・・・。」